露がまだ残る草地に足を踏みしめながら歩く。背中から小さな振動を感じるが振り返らない。首筋に吸い付き始める感触と軽い痛み。空中に舞う黒い点々が視界を乱す。手のひらで払う動作が繰り返される。そのたびに黒い点々は一瞬の閃光のように跳ね飛ぶ。草地の湿気は足元で蒸発し、地面に残った水滴が光を反射する。黒い点々の動きは不規則で、時折空気を切り裂くような音を立てて近づく。手のひらの動きは無意識に繰り返され、そのたびに首筋の痛みが一瞬だけ和らぐ。草地の奥に何かが蠢いている。黒い点々の群れは、人の動きに合わせて微妙に方向を変える。手のひらが空気を切り裂くたびに、小さな振動が背中を伝う。
露の中の足音
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